; oi: 標準一様分布に従う独立した2つの確率変数の大きい方の期待値の求め方(1)

2017年6月4日日曜日

標準一様分布に従う独立した2つの確率変数の大きい方の期待値の求め方(1)

連続一様分布の定義


連続一様分布の確率密度関数は以下の通りである。

$$
\begin{eqnarray}
f ( x )
 =
  \begin{cases}
    \frac{ 1 }{ b - a } & ( a \leq x \leq b ) \\
    0 & ( x \lt a \ or \ b \gt x )
  \end{cases}
\end{eqnarray}
$$
今回対象の標準一様分布は以下で定義される。
$$
\begin{eqnarray}
f ( x )
 =
  \begin{cases}
    1  & (0 \leq x \leq 1 ) \\
    0 & ( x \lt 0 \ or \ 1 \gt x )
  \end{cases}
\end{eqnarray}
$$

いくつかの方法で期待値を求めてみる。

  1. 離散一様分布の極限から導出する場合
  2. 重積分によって導出する場合
  3. (おまけ)任意の連続一様分布の場合


離散一様分布の極限から導出する場合


$[0,1]$の区間を$n$等分し、$0, \frac{ 1 }{ n },...,\frac{ k }{ n },...,\frac{ n }{ n }$ の$n+1$つの離散値を、それぞれ$\frac{ 1 }{ n+1 }$の確率でとる離散一様分布を考える。

この離散一様分布から、2つの確率変数$X,Y$をとる場合に、その大きい方の期待値は、以下の式で求められる。
$$
\small{2\sum_{k=0}^{n} \frac{ k }{ n }\cdot\frac{ 1 }{ 1+n }\cdot\frac{ 1+k }{ 1+n }-\sum_{k=0}^{n} \frac{ k }{ n }\cdot\frac{ 1 }{ 1+n }\cdot\frac{ 1 }{ 1+n }}
$$
簡単に解説すると、$X$が大きい方となり、その値が$\frac{ k }{ n }$をとる確率は、$\frac{ 1 }{ 1+n }\cdot\frac{ 1+k }{ 1+n }$である。この時、$Y$は、$\frac{ k }{ n }$以下の値をとる必要があることに注意されたい。次に、$Y$が大きい方となる場合も考慮し、$X=Y$となる重複する確率を除くと、求める期待値は、上記式で表現できる。

次に期待値の式を簡単にすると、以下の式(5)が得られる。
$$
\begin{eqnarray}
& &\small{2\sum_{k=0}^{n} \frac{ k }{ n }\cdot\frac{ 1 }{ 1+n }\cdot\frac{ 1+k }{ 1+n }-\sum_{k=0}^{n} \frac{ k }{ n }\cdot\frac{ 1 }{ 1+n }\cdot\frac{ 1 }{ 1+n }}\\
&=&\sum_{k=0}^{n} \frac{ 2k^2+k }{n(1+n)^2 }\\
&=&\sum_{k=1}^{n} \frac{ 2k^2+k }{n(1+n)^2 }\\
&=&\small{\frac{1}{n(1+n)^2}\cdot( 2\frac{n(n+1)(2n+1)}{6}+\frac{n(n+1)}{2})}\\
&=&\frac{4n+5}{6n+6}
\end{eqnarray}
$$

この$[0,1]$の区間を分割する変数である$n$を無限大の極限をとると、連続一様分布に従う独立した2つの確率変数の大きい方の期待値と等しいが得られる。
$$
\begin{eqnarray}
& & \lim_{ n \to \infty }\frac{4n+5}{6n+6}
&=& \lim_{ n \to \infty }\frac{4+\frac{5}{n}}{6+\frac{6}{n}}
&=&\frac{2}{3}
\end{eqnarray}
$$

次回は重積分を用いて、直接連続一様分布に従う独立した2つの確率変数の大きい方の期待値を考える

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